イーサンアレンのウィンザーチェア
- 渡辺木工

- 7月7日
- 読了時間: 2分

ウィンザーチェアの修理は時々させて頂きますが、今回は少し難しい修理です
イーサンアレンはアメリカの老舗木製家具メーカーで”古き良きアメリカ”を形にしたような素敵な椅子を多く作っています
本家イギリスのウィンザーチェアはどっしりとした印象ですが、アメリカのものは構成する部材が細く繊細な姿が印象的です 中でも今回のいすはコンティニュアスアームチェアという背もたれから肘まで1本の部材でできている曲線が印象的な美しいタイプです

修理箇所は折れた肘部分を支えるスポーク2本の作り直しです ハンマーでショックを加えながら分解します
背から肘受にかけての細い曲木の部材(笠木と言います)を他の部材を傷つけずに外さなければならないのですが、笠木そのものが年数を経て乾燥が進み、少しの衝撃で折れやすくなっています 解体は慎重に進めなければいけません

分解が終わったら、作り直す2本の部材の寸法を測って製作図を作り、それを元に旋盤で削り出します 部品が出来上がったら組み立てます

座面と笠木を繋ぐスポークは14本あります
接着剤は塗ってから貼り合わせるまで10分以内で済ませなければいけないので組み立ては大急ぎです
穴に差し込んだスポークが反発して抜けてこないようにベルトで締めながら固定します
組み終われば塗装して全体にワックスを付けて拭き上げたら終わりです

交換したスポークの塗装と一緒に塗膜の傷んだ肘受も塗装し直します
塗装が剥げてきたり傷んだりした部分は汚れやすくなりますので一度塗装し直すのがベストです
でも塗装するとなると費用もかかりますので、時々ワックスをつけておくのが艶も出て良いかと思います 但し、一度にたっぷり塗ると次に塗装し直す時に塗料を弾いてしまうので塗り過ぎには注意です
それから家具の塗装の種類によってワックスは異なりますので、一度詳しい方のアドバイスを受けた方がよいかと思います




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